慢性疾患コラム

2025.03.06

「眠れない夜の原因はこれかも?SASと不眠症の関連性」

​睡眠は、私たちの健康と生活の質を支える大切な時間です。しかし、​睡眠時無呼吸症候群(SAS)や不眠症といった睡眠障害に悩まされる方も少なくありません。​これらの障害が互いにどのように関連しているのか、最新の研究をもとに探ってみましょう。​

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

​睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に止まる、または浅くなる状態が繰り返される疾患です。​主な症状として、いびき、日中の過度な眠気、集中力の低下などが挙げられます。​これらは、心血管疾患や代謝異常のリスクを高める要因ともなります。​

 

不眠症とは

不眠症は、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、または非回復性の睡眠など、睡眠の質や量に問題が生じる状態を指します。​その結果、日中の疲労感や注意力の低下、感情の不安定さなどが現れ、生活の質を低下させることがあります。​

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と不眠症の関係性

一見、異なる性質を持つこれらの睡眠障害ですが、実際には密接な関連性があることが明らかになっています。​SASの患者さんの中には、不眠症の症状を併発する方が多く、その逆もまた然りです。​この関連性を理解することで、より効果的な治療法の開発や生活の質の向上が期待されます。​

 

最新の研究紹介:睡眠時無呼吸症候群(SAS)と不眠症の相互関係

2023年に発表されたある海外の研究では、​睡眠時無呼吸症候群(SAS)と不眠症の相互関係が詳細に検討されました。​この研究では、​睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の中で不眠症の症状を持つ割合や、その影響について分析されています。​

研究の概要

この研究では、​睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断された患者500名を対象に、不眠症の症状の有無や程度を評価しました。​その結果、約40%の患者が何らかの不眠症状を報告しており、特に入眠困難や中途覚醒が多く見られました。​

主な発見

不眠症状の高い併発率:​SAS患者の約40%が不眠症状を持つことが確認され、これは一般人口と比較して高い割合となっています。​

生活の質への影響:​不眠症状を持つ​睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者は、日中の眠気や疲労感が強く、全体的な生活の質が低下していることが示されました。​

治療への影響:​不眠症状を持つ患者は、​睡眠時無呼吸症候群(SAS)の標準的な治療である持続的気道陽圧法(CPAP)の使用継続率が低い傾向が見られました。​

 

考察

これらの結果から、SASと不眠症は相互に影響し合い、患者さんの生活の質や治療効果に関与していることが示唆されます。​特に、不眠症状がSASの治療継続に影響を及ぼす可能性があるため、両者を同時に評価し、適切な対応を行うことが重要と考えられます。​

 

治療と対応策

SASと不眠症の併発に対する効果的な治療戦略を立てるためには、以下の点が重要です。​

包括的な評価:​患者さんの睡眠全体を評価し、​睡眠時無呼吸症候群(SAS)や不眠症の症状、生活習慣、心理的要因などを総合的に把握することが必要です。​

個別対応の治療計画:​​睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療(例:CPAP療法)に加えて、不眠症状に対する認知行動療法や薬物療法を組み合わせるなど、個々の患者さんに適した治療計画を立てることが重要です。​

生活習慣の改善:​規則正しい睡眠習慣の確立や、リラクゼーション法の導入、適度な運動など、生活習慣の見直しも効果的です。​

 

まとめ

​睡眠時無呼吸症候群(SAS)と不眠症は、互いに関連し合いながら、私たちの健康や生活の質に影響を及ぼす可能性があります。​最新の研究からも、その相互関係が明らかになりつつあります。​睡眠に関するお悩みや疑問がございましたら、ぜひ岡崎ゆうあいクリニックにご相談ください。

 

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