慢性疾患コラム

2025.03.11 睡眠時無呼吸症候群

「眠りと痛みの関係性:睡眠時無呼吸症候群が引き起こす頭痛のメカニズム」

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が繰り返し停止する状態で、日中の眠気や集中力の低下など、さまざまな健康問題を引き起こします。最近の研究では、この症候群と頭痛との関連性が注目されています。

 

 

最新の研究紹介:睡眠時無呼吸症候群と頭痛の関連性

2024年2月に発表された研究では、片頭痛患者における睡眠障害の併存が中枢性感作に及ぼす影響が調査されました。この研究には、215名の片頭痛患者が参加し、不眠症、レム睡眠行動障害、日中の過度な眠気、睡眠時無呼吸症候群の疑いなど、複数の睡眠障害の影響が評価されました。

 

研究結果の概要

  • 睡眠障害の有病率:​片頭痛患者の約87%が1つ以上の睡眠障害を有しており、その中で不眠症が71.6%、日中の過度な眠気が34.4%、睡眠時無呼吸症候群の疑いが10.2%と報告されました。

  • 睡眠障害の数と頭痛の関連性:​複数の睡眠障害を併発することで、片頭痛の重症度が増加し、生活の質に大きな影響を及ぼすことが示されました。

考えられるメカニズム

睡眠時無呼吸症候群と頭痛の関連性について、以下のメカニズムが考えられます:

  1. 低酸素状態:​睡眠中の呼吸停止により血中の酸素レベルが低下し、これが血管を拡張させ、頭痛を引き起こす可能性があります。

  2. 睡眠の質の低下:​頻繁な呼吸停止により睡眠が断片化され、深い睡眠が妨げられ、これが頭痛の引き金となることがあります。

  3. 神経化学的変化:​睡眠不足や低酸素状態は、脳内の神経伝達物質のバランスを乱し、頭痛を誘発する可能性があります。

 

治療と管理

睡眠時無呼吸症候群と頭痛を同時に管理することは、患者の生活の質を向上させるために重要です。以下のアプローチが考えられます:​

  • 持続的陽圧呼吸療法:​睡眠時無呼吸症候群の標準的な治療法である持続的陽圧呼吸療法は、気道を開いた状態に保つことで、呼吸停止を防ぎます。多くの研究で、この療法の使用により頭痛の頻度と重症度が減少することが示されています。

  • 生活習慣の改善:​体重管理、アルコールや喫煙の制限、規則正しい睡眠習慣の確立は、睡眠時無呼吸症候群と頭痛の両方に有益です。

  • 頭痛の直接的な治療:​必要に応じて、鎮痛薬や片頭痛予防薬の使用を検討します。ただし、自己判断での薬物使用は避け、医師と相談することが重要です。

 

まとめ

睡眠時無呼吸症候群と頭痛は密接に関連しており、適切な診断と治療により、これらの症状を効果的に管理し、患者さんの生活の質を向上させることが可能です。

睡眠時無呼吸症候群や頭痛でお悩みの方は、ぜひ岡崎ゆうあいクリニックにご相談ください。

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