慢性疾患コラム

2025.03.07

「最新研究が示す。睡眠時無呼吸症候群患者の不整脈リスクと対策」

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止する状態を指し、日中の眠気や集中力の低下だけでなく、心血管系の健康にも深刻な影響を及ぼすことが知られています。特に、不整脈との関連性が注目されており、最新の研究でその関係性がさらに明らかになってきました。

 

 

最新の研究が示す睡眠時無呼吸症候群と不整脈の関連性

2023年に発表された「循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン」改訂版では、睡眠時無呼吸症候群が心血管疾患の重要なリスク因子であることが強調されています。このガイドラインでは、睡眠時無呼吸症候群患者における不整脈の発生率が高いことが報告されており、特に心房細動(Atrial Fibrillation:AF)との関連性が指摘されています。

 

睡眠時無呼吸症候群が不整脈を引き起こすメカニズム

睡眠時無呼吸症候群が不整脈を引き起こす具体的なメカニズムとして、以下の点が考えられています。

  • 低酸素状態:​睡眠中の呼吸停止により、血中の酸素濃度が低下します。これが心筋に負担をかけ、不整脈の誘発要因となる可能性があります。

  • 交感神経の活性化:​低酸素状態や睡眠の分断により、交感神経系が過度に刺激されます。これが心拍数や血圧の変動を引き起こし、不整脈のリスクを高めると考えられています。

  • 心臓のリモデリング:​長期間にわたる睡眠時無呼吸症候群は、心臓の構造的変化(リモデリング)を引き起こし、これが不整脈の基盤となることがあります。

 

持続的気道陽圧法(CPAP)療法の効果と重要性

持続的気道陽圧法(Continuous Positive Airway Pressure:CPAP)療法は、睡眠時無呼吸症候群の主要な治療法として広く認識されています。CPAP療法は、睡眠中の気道閉塞を防ぎ、安定した呼吸を維持することで、低酸素状態や交感神経の過剰な活性化を防ぐ効果があります。これにより、心血管系への負担が軽減され、不整脈の発生リスクも低下すると考えられます。実際、CPAP療法が睡眠時無呼吸症候群患者の不整脈リスクを低減させる可能性が示唆されています。

 

日常生活での注意点

睡眠時無呼吸症候群と不整脈の関連性を踏まえ、日常生活で以下の点に注意することが重要です。

  • 定期的な健康チェック:​睡眠時のいびきや日中の過度な眠気を感じる場合、早めに医療機関を受診し、適切な検査を受けることが推奨されます。

  • 生活習慣の改善:​適度な運動やバランスの良い食事、禁煙などの健康的な生活習慣は、睡眠時無呼吸症候群の予防や症状の軽減に寄与します。

  • 治療の継続:​睡眠時無呼吸症候群と診断され、CPAP療法などの治療が開始された場合、医師の指示に従い、継続的に治療を行うことが重要です。

 

まとめ

睡眠時無呼吸症候群は、不整脈を含む心血管系の疾患と深く関連していることが最新の研究で明らかになっています。適切な診断と治療、そして生活習慣の見直しが、これらのリスクを低減させる鍵となります。睡眠や心臓の健康に不安を感じる方は、ぜひ岡崎ゆうあいクリニックにご相談ください。

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