慢性疾患コラム

2025.06.17 自律神経失調症

【自律神経失調症外来】自律神経失調を見逃さないための症状チェック

自律神経失調症の代表的な症状まとめ

 

1. 体調のバランスが崩れる「自律神経」とは?

自律神経には、身体を活動モードにする交感神経と、休息・回復モードに働く副交感神経があります。この2つのバランスが崩れるのが「自律神経失調症」です。発症率は不明ですが、ストレスや生活習慣の乱れを抱える現代人に広く見られます。

 


 

2. 代表的な症状と具体例

以下に、自律神経失調症の主な症状をご紹介します。

 

a. めまいや立ちくらみ(起立性低血圧・POTSに伴う頻脈)

立ち上がると「めまい」「クラッ」として、ふらつきや失神に至ることもあります。「心拍数が1分間に30拍以上上昇する例もあり」、日常生活に支障が出ます

 

b. 頭痛、耳鳴り、肩こり

  • 緊張型頭痛:首から肩にかけての筋肉が固まり、デスクワークやストレスで悪化します。

  • 耳鳴りや肩こりもセットで現れ、「夜寝付きづらい」など睡眠障害に繋がりやすいです。

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c. 便秘・下痢・吐き気などの胃腸症状

副交感神経の低下で消化運動が鈍くなり、「3日に1回しか排便がない…」といった便秘、また逆に下痢や朝の吐き気に悩む方もいます。

 

d. 動悸・胸のざわつき

交感神経が過剰に働くと、安静時でも脈が早く感じられ、「胸がドキドキして…」という症状を自覚される方もいます。

 

e. 冷え・のぼせ・発汗異常

手足が冷たくなる「冷え」、逆に顔が火照る「のぼせ」、汗が出すぎたり出なすぎたり……これらは身体の温度を調整する自律神経の乱れが原因の可能性があります

 

f. やる気の出なさ・集中力の低下(いわゆる“脳・脳霧”)

「頭がぼんやりして、文章が頭に入らない…」「何もやる気が起きない…」という不調。POTS(起立性頻脈症候群)では「brain fog」と呼ばれる現象の報告もありました。138名中約90%の人が忘れやすさや集中困難を訴えています

 

g. 不眠・睡眠の質の低下

交感神経の優位が続くと、寝つきが悪くなったり夜中に目が覚めたり。十分に休めず、翌日の疲労感に悩む悪循環に陥っていきます。

 

h. 泌尿器・性機能の不調(頻尿、性欲低下 等)

尿が近い、残尿感、性欲の減退など、プライベートな悩みに発展しがちです。

 


3. 症状が現れるしくみ

自律神経のバランスが崩れる背景には、さまざまな要因があります。

  • ✅ストレス、長時間労働、生活リズムの乱れ

  • 慢性的な寝不足や栄養不良

  • ✅過去のウイルス感染(例:コロナ後の「ロングCOVID」に伴う自律神経障害報告あり)

  • 遺伝要因や免疫異常など

生活リズムの乱れは、そのまま交感神経の過剰刺激、副交感神経の低下という毒性のようなスパイラルを引き起こします。

 


4. 最新の海外科学論文から読み解く自律神経計測

「Passive Measurement of Autonomic Arousal in Real‑World Settings」(2025年4月発表)

 

  • 研究概要:Fitbitなどのウェアラブルを使い、ストレス時の自律神経反応を連続測定。

  • 被験者人数:①公式ストレス刺激(社会ストレス実験):45名 ②実生活ストレス自己申告:87名

  • 結果:ストレスを感じると、心拍変動(HRV)や電気皮膚反応で自律神経の活性化が高精度(85%)で検知できた

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研究のポイント
  • ① 実生活で自律神経の状態をリアルタイム把握できました。

  • ② 「ストレスを感じた」と主観で伝えるのではなく、生体信号から客観的に判定できることがわかりました。

  • ③ 将来は、日々のむくみ・だるさ・肩こりなどの軽度な不調をAIが自動検出し、具体的なアドバイス(休憩や深呼吸)を返す可能性もあります。

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5. 当院での診察・対策

 

〈1〉問診・生活習慣の見直し

まずは「何が不調の引き金か」生活パターンを詳しくヒアリング。睡眠時間、食事内容、ストレス要因などを把握します。

 

〈2〉必要に応じて検査

  • 血圧・心拍数の起立測定

  • ホルター心電図や心拍変動の測定(連携機関で対応)

  • 血液検査(栄養状態・ホルモンバランス)

  • 睡眠ポリグラフィー検査(睡眠時無呼吸症候群の確認)
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〈3〉生活習慣へのアドバイス

  • 規則正しい睡眠と、朝日を浴びるルーティンを取り入れましょう。

  • 「白湯+塩分+ミネラル補給」で体液量アップを意識しましょう。

  • 首・肩のストレッチや腹式呼吸で交感神経の緩和を目指しましょう。

  • 入浴のタイミングを意識して、さらにカフェイン・アルコールを制限しましょう。

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〈4〉運動・リハビリ指導

有酸素運動(ウォーキング・水中運動)を週3~4回推奨。「立つとめまいがする…」という方には、リクライニング自転車や段階的歩行からスタートします。

 


6. 自律神経失調症と向き合うために

  • 放置すると慢性化しやすく、うつや過覚醒、生活機能低下のリスクが増大するので注意が必要です。

  • 逆に、初期段階で対策すると80~90%の方が症状改善に向かうために、早めの対処が必要です。

当院では、身体と心の両面をケアしながら、一人ひとりの生活に寄り添う治療を行っております 💡

 


📌 まとめ

自律神経失調症は、めまいや動悸、頭痛、胃腸トラブル、眠れないなど多彩な症状で現れます。

当院では、問診・検査・生活改善・運動・必要な薬物治療までトータルにサポートいたします。症状でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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