慢性疾患コラム

2025.06.17 自律神経失調症

【自律神経失調症外来】「40代から変わる自律神経のバランスとは?見逃しやすい不調の正体」

自律神経(交感神経と副交感神経)が乱れやすくなる年齢とは?

 

人は年を重ねるごとに、体の調整役である自律神経(※交感神経と副交感神経)が少しずつバランスを崩しやすくなります。特に40代以降、65歳以上ではその変化が顕著になることがわかっています。

実際、心拍変動(Heart Rate Variability:心拍の変化幅)などを測ると、交感神経の興奮が増え、副交感神経が弱くなる傾向が見られます。これは加齢による自律神経機能の低下の典型で、さまざまな体調不調の原因の一つです。

 


1. 年齢別の変化 ~40代から始まるバランス変化

40代から50代にかけて、交感神経の興奮状態が強まり、副交感神経の働きが徐々に落ちてきます。

これは、血管や心臓の調整機能が少しずつ衰えることで起きる自然な老化現象です。同時に「慢性炎症」が増えることも分かってきています。

特に65歳を超えると、自律神経の反応遅延や変動の減少が顕著になり、立ったときにクラクラしたり、夜寝付きにくくなるような症状が出やすくなります。

 


2. 科学論文紹介:自律神経の加齢と炎症の関係

“The Role of Age‑Associated Autonomic Dysfunction in Inflammation and Endothelial Dysfunction in the Context of Aging.”

「加齢による自律神経失調は炎症の芽を芽吹かせる?」



今回は、2022年発表の海外レビュー論文を紹介します。

 

  • 目的:加齢で自律神経がどう変化し、それが体の炎症反応にどう影響するかを解析しています。

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  • 主な内容

    • 交感神経の興奮が年齢とともに亢進し、副交感神経の働きが低下しました。

    • 特に「副交感神経が弱まると、炎症を制御する能力=抗炎症経路が働きにくくなる」という現象が認められました。

    • これにより、慢性的な炎症が続きやすくなり、心血管障害や動脈硬化などのリスクが高まる可能性があります。

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  • 数値データ

    • 「筋交感神経活動(MSNA)のバースト頻度」が年齢とともに有意に増加しています。

    • 副交感神経に関連するバリア反応(心拍変動)の低下も報告されています。

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  • まとめ:年を取るほどに「交感神経優位・副交感神経抑制」の状態が促進され、炎症リスクが上がる→将来的な病気につながる可能性を示唆しています。

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3. 具体的な変化が始まる年齢

  • 30代後半~40代~50代

    心拍変動の解析などでは、40歳前後から明らかな交感神経優位の波が見え始めます。

    睡眠中の自律神経リズムも変わってきて、夜中のリラックス度合いが明らかに減少します。

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  • 60歳以降

    臓器や血管の調整機能全体が落ちる中で、自律神経の反応性はさらに鈍化。

    補正機能が弱まり、立ちくらみや起立性低血圧、夜間頻尿、冷えやほてりなどの不調が現れやすくなります。

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4. なぜこの変化が起きるのでしょう?

 

✅ 血管・神経の老化

血管壁が硬くなり、神経伝達速度も鈍化していきます。

これによって、交感神経の興奮が強く出やすく、副交感神経の制御が効きにくくなります。

 

✅ 慢性炎症(インフラメイジング)の増加

加齢に伴って炎症マーカー(IL-6、CRPなど)が上がりやすくなります。炎症自体が交感神経を刺激し、自律神経バランスをさらに傾けます。

 

✅ 生活習慣の影響

長時間の座り仕事、運動不足、睡眠の乱れなどが合わさり、交感神経優位の状態が常態化してきます。

 


5. 自律神経不調がもたらす症状

  • 起立性低血圧・立ちくらみ

  • 寝つきが悪くなる・夜中に目覚めやすい

  • 動悸・胸のざわつき

  • 胃腸の不調(便秘や軟便、食欲不振)

  • 冷えやほてり、発汗の不調

  • 尿トラブルや性機能の乱れ

  • 慢性的な疲労感・だるさ・集中力低下

これら症状の多くは、加齢に伴う副交感神経の低下と、交感神経の過緊張によって引き起こされます。

 


6. 対策について

 

◆ 規則正しい生活リズムの再構築

  • 起床後30分以内に朝日を浴び、セロトニン分泌を促進していきましょう。

  • 就寝前はスマホ・ブルーライトを控え、リラックスタイムを確保しましょう。

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◆ 運動の習慣化

  • 軽いウォーキングやストレッチを週3~5回、各30分以上行いましょう。

  • 心拍変動を改善するためには、呼吸法(腹式呼吸)やヨガが効果的とされています。

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◆ 栄養・水分の工夫

  • ミネラル、特にマグネシウム・カリウム・塩分を適度に補い、自律神経調整を助けましょう。

  • 水分は1日1.5~2リットル、軽い電解質ドリンクでもOKです。

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◆ ストレス管理

  • 自律訓練法、マインドフルネス、趣味を通じた気分転換など、交感神経を落ち着ける方法を習慣を取り入れましょう

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◆ 必要なら検査・サポート

血圧・心拍変動モニター、ホルター心電図、起立試験、生化学検査などで自律神経機能を客観判断。不調の原因がわかれば的確な対応が可能になります。

 


🎯 まとめ:年齢による自律神経の変化ポイント

年齢 主な変化
30代後半~40代 交感神経優位がじわりと始まり、副交感神経の働きが弱まる兆し
50代~60代 感覚的な不調(めまい・不眠・動悸など)が出やすくなる
60代以降 自律神経の反応性が鈍化し、慢性不調が増加

 


年齢を重ねても、体調のバランスは取り戻せます。不安やストレスで元気が出ない、何となく調子が悪い…そんなときは、ひとりで悩まずぜひご相談ください😊

岡崎ゆうあいクリニックにご相談ください。

 

【岡崎ゆうあいクリニックの自律神経失調症外来】

 

自律神経失調症外来(60分)
料金:19,800円(税込) ※自費診療
内容:リアルタイム測定・カウンセリング・環境応答チェック

 外来時間:月、火、木、金の12:30~16:00

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