2025.03.11 睡眠時無呼吸症候群
「寝ている間に健康が悪化?最新研究が示す睡眠時無呼吸の影響」
睡眠時無呼吸症候群の有病率と疫学的データについて
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が一時的に停止または低下する状態を指します。これは、上気道が閉塞することで発生する「閉塞性睡眠時無呼吸」と、脳の呼吸中枢が適切に働かないことで発生する「中枢性睡眠時無呼吸」に分類されます。
特に、閉塞性睡眠時無呼吸は一般的に多くみられ、睡眠の質を低下させるだけでなく、高血圧や心臓病、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病と深く関係しています。また、日中の強い眠気による交通事故のリスクも高まることが知られています。
本記事では、睡眠時無呼吸症候群の有病率やリスク要因、最新の疫学的データをもとに、この疾患の重要性を解説します。
睡眠時無呼吸症候群の有病率について
世界中で多くの人々が睡眠時無呼吸症候群を抱えていることが研究によって明らかになっています。特に閉塞性睡眠時無呼吸は、成人男性の約24%、成人女性の約9%が罹患していると報告されています。また、年齢とともにその割合は上昇し、60歳以上の高齢者では約30~40%に達するとされています。
さらに、閉経後の女性はホルモンバランスの変化によって、若年期よりも睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まることがわかっています。このため、高齢の方ほど注意が必要な疾患のひとつといえます。
また、子どもにも発症する可能性があり、小児では約2~3%が睡眠時無呼吸症候群を抱えていると報告されています。子どもの場合は、扁桃腺やアデノイドの肥大が主な原因とされており、成長や学習能力への影響が懸念されています。
肥満と睡眠時無呼吸症候群の関係
肥満は、睡眠時無呼吸症候群の大きなリスク要因のひとつです。特に、首まわりや上気道に脂肪がつくことで気道が狭くなり、睡眠中に呼吸が妨げられる可能性が高まります。
最近の研究では、体重の増加が睡眠時無呼吸症候群の重症度と関連していることが明らかになっています。例えば、体重が10%増加すると、睡眠時無呼吸のリスクが約6倍に上昇すると報告されています。
一方で、適切な体重管理を行うことで、症状の改善が期待できることもわかっています。特に、減量手術を受けた重度肥満の患者では、睡眠時無呼吸の症状が大幅に改善するケースが多いとされています。
喫煙や飲酒との関連性
喫煙は、気道の炎症を引き起こし、粘膜の腫れや分泌物の増加をもたらします。これにより、睡眠中の気道閉塞が悪化し、無呼吸の発生リスクが高まることが指摘されています。
また、飲酒は上気道の筋肉を弛緩させる作用があり、特に就寝前にアルコールを摂取すると、気道の閉塞が起こりやすくなります。そのため、睡眠時無呼吸症候群の方は、寝る前の飲酒を控えることが推奨されます。
最新の研究が示す健康への影響
近年の研究では、睡眠時無呼吸症候群が全身の健康に及ぼす影響が明らかになっています。
例えば、睡眠時無呼吸のある方は、糖尿病を発症するリスクが高いことが報告されています。これは、睡眠中の酸素不足がインスリンの働きを低下させ、血糖値をコントロールしにくくするためと考えられています。
また、心血管疾患との関連も指摘されています。睡眠時無呼吸症候群の患者では、血圧が正常な方に比べて高くなる傾向があり、心臓病や脳卒中のリスクが上昇することがわかっています。
さらに、近年の研究では、睡眠時無呼吸症候群が腸内環境にも影響を与える可能性があることが示唆されています。酸素不足が腸内細菌のバランスを崩し、炎症を引き起こすことが報告されており、全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、決して珍しい疾患ではなく、多くの方に影響を与えています。特に、男性、高齢者、肥満のある方では発症のリスクが高く、放置すると健康にさまざまな悪影響を及ぼします。
しかし、生活習慣の見直しや適切な治療を行うことで、症状を改善し、健康を守ることが可能です。いびきや日中の眠気、熟睡感のなさなど、気になる症状がある場合は、早めに医師に相談することをおすすめします。
睡眠の質を向上させ、健康な毎日を送るためにも、気になることがあれば岡崎ゆうあいクリニックにご相談ください。