2025.03.07
「それ、糖尿病のサインかも?」—知らないと怖い初期症状とは
糖尿病は、初期段階では自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行することが多い疾患です。しかし、早期発見と適切な対応により、合併症の予防や進行の抑制が可能です。今回は、糖尿病の初期症状について詳しくご紹介します。
糖尿病の主な初期症状
糖尿病の初期症状は、以下のようなものがあります。
-
多尿(頻尿):血糖値が高くなると、体は余分な糖を尿として排出しようとします。その結果、尿の回数や量が増えることがあります。
-
口渇(喉の渇き):多尿により体内の水分が失われるため、喉の渇きを感じ、水分摂取量が増えることがあります。
-
多食(食欲亢進):エネルギー源である糖が細胞に取り込まれにくくなるため、体はエネルギー不足を感じ、食欲が増すことがあります。
-
体重減少:十分なエネルギーが供給されないため、体は脂肪や筋肉を分解してエネルギーを補おうとし、その結果、体重が減少することがあります。
-
疲労感・倦怠感:エネルギー不足により、常に疲れやすく、倦怠感を感じることがあります。
-
視力のぼやけ:高血糖により、目の水晶体に影響が及び、視界がぼやけることがあります。
-
感染症にかかりやすい:高血糖状態が続くと、免疫力が低下し、皮膚感染症や尿路感染症などにかかりやすくなります。
最新の研究から見る糖尿病の初期メカニズム
近年、糖尿病の初期段階における新たな分子メカニズムが明らかになってきました。筑波大学や東京理科大学の研究チームは、糖尿病モデルマウスの膵島(インスリンを分泌する組織)を単一細胞レベルで解析し、糖尿病発症初期の膵β細胞で特異的に発現が増加する遺伝子「Anxa10」を同定しました。 この遺伝子は、細胞内カルシウムの恒常性を乱し、インスリン分泌能を低下させることが示唆されています。この発見は、糖尿病の予防や新たな治療法の開発に寄与する可能性があります。
糖尿病の種類と初期症状の違い
糖尿病には主に1型糖尿病と2型糖尿病の2種類があります。それぞれの初期症状には若干の違いが見られます。
-
1型糖尿病:自己免疫反応により膵β細胞が破壊され、インスリンがほとんど分泌されなくなる疾患です。急激に症状が現れることが多く、上述した多尿、口渇、多食、体重減少などの症状が顕著に現れます。また、糖尿病ケトアシドーシスと呼ばれる重篤な状態に陥ることもあります。
-
2型糖尿病:生活習慣や遺伝的要因により、インスリンの作用が低下する(インスリン抵抗性)ことで発症します。症状は緩やかに進行し、初期には自覚症状がほとんどないことが多いです。しかし、放置すると合併症のリスクが高まります。
早期発見の重要性と検査方法
糖尿病の初期症状は見逃されがちですが、早期発見が非常に重要です。定期的な健康診断や以下の検査を受けることで、早期発見が可能となります。
-
空腹時血糖値測定:空腹時の血糖値を測定します。正常値は70~99 mg/dLとされています。
-
経口ブドウ糖負荷試験(OGTT):ブドウ糖溶液を飲んだ後、一定時間ごとに血糖値を測定し、糖代謝の状態を評価します。
-
HbA1c測定:過去1~2か月間の平均血糖値を反映する指標で、糖尿病の診断や治療効果の評価に用いられます。
糖尿病予防のための生活習慣の見直し
糖尿病の予防や進行を防ぐためには、生活習慣の見直しが重要です。以下の点に注意しましょう。
-
バランスの良い食事:野菜や果物、全粒穀物、適切な量のたんぱく質を摂取し、過剰な糖分や脂肪の摂取を控えましょう。
-
適度な運動
運動は血糖値を下げる効果があり、糖尿病予防に役立ちます。特に以下のような運動が推奨されます。- 有酸素運動:ウォーキング(1日30分以上)、ジョギング、水泳、自転車などが効果的です。週に150分以上の運動を目指しましょう。
- 筋力トレーニング:筋肉を増やすことで、インスリンの働きを向上させることができます。ダンベルを使った筋トレやスクワットなどの自重トレーニングを取り入れましょう。
適正体重の維持
体重を適正範囲内に保つことは、糖尿病の予防と管理に重要です。BMI(体格指数)が25以上の方は、体重を減らすことで糖尿病リスクを大幅に下げることができます。質の高い睡眠を確保する
睡眠不足は、インスリンの働きを低下させ、糖尿病リスクを高めます。毎日7〜8時間の質の良い睡眠を確保することを心がけましょう。ストレス管理
慢性的なストレスは血糖値を上昇させる要因になります。趣味やリラックスできる時間を持ち、ストレスを適切に管理しましょう。 -
糖尿病の初期症状に気づいたら?
「ちょっと疲れやすい」「喉が渇く」「最近トイレの回数が増えたかも…」といった症状が気になる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。糖尿病は放置すると合併症を引き起こし、腎臓病、神経障害、網膜症(視力低下)などのリスクが高まります。早期発見と適切な管理で、健康的な生活を維持することが可能です。
糖尿病が気になる方や、検査を希望される方は 岡崎ゆうあいクリニックにご相談ください。