医療情報

2023.04.15

高圧水素酸素治療 (HBHOT) – コロナ後遺症と慢性疲労の改善への新しいアプローチ

高圧水素酸素治療 (HBHOT: Hyperbaric Hydrogen and Oxygen Therapy) は、当クリニックで特に効果が期待される「高圧酸素」と「水素」を組み合わせた独自開発の治療法で、他のクリニックのコロナ後遺症外来でも改善が見られなかった患者さんの倦怠感に対して効果が得られています。

イスラエルにおいて2022年に実施されたランダム化比較試験 (RCT) では、高圧酸素治療がコロナ後遺症に効果があることが示されています。この治療は、脳の血流を改善し、脳の微小構造を変化させて回復を促すとされています。また、線維筋痛症にも高圧酸素治療が効果的であることが報告されており、両方の症状において脳の血流改善が重要であることがわかります。

水素については、2021年にロシアの研究者が、水素吸入がコロナ後遺症に効果があることを発表しました。その後、2022年にモスクワの国立臨床病院のコロナ後遺症リハビリセンターで水素吸入器が採用されました。当クリニックでも、水素吸入器を使用してコロナ後遺症の患者さんに治療を提供しており、一部の患者さんは症状が軽減されておりますが、十分な改善というまでには至っていませんでした。

そのため当クリニック独自にこの高圧酸素と水素を組み合わせた高圧水素酸素治療(HBHOT)を開発し、「コロナ後遺症外来・慢性疲労症候群外来・線維筋痛症外来」として運用を開始しました。

高圧環境での水素および酸素の浸透がヘンリーの法則により促進されるため、高圧水素酸素治療では、より多くの水素と酸素が体内に取り込まれます。また、水素が高圧酸素によって発生する悪玉活性酸素を選択的に消去することで、高圧酸素治療の弱点をカバーしています。
HBHOTは、1.9気圧をかけながら酸素(50%)と水素(4%)を身体に入れますので、通常気圧と比較すると動脈酸素分圧は6.5倍となります。

高圧水素酸素治療(HBHOT)は、赤血球の凝集を改善し、血液循環を促進する効果も持っています。コロナ後遺症や慢性疲労症候群、線維筋痛症の患者さんの血液はしばしばドロドロ状態になっていますが、HBHOTを受けることで、赤血球が分離され、血液がサラサラの状態で毛細血管を通ることが可能になります。これにより、酸素が各細胞に効果的に届けられることで症状改善を促します。

まとめると、高圧水素酸素治療(HBHOT)は、「高圧酸素」と「水素」を組み合わせた新しい治療法です。この治療法は、コロナ後遺症や慢性疲労症候群、線維筋痛症の患者さんに対して、脳の血流を改善し、赤血球の凝集を解消し、酸素の効果的な供給を促進することで、症状の改善を目指しています。

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