慢性疾患コラム

2025.03.14 慢性腎臓病

「腎臓の健康を守るために知っておきたい!タンパク尿のメカニズムと予防策」

慢性腎臓病とタンパク尿の関係

慢性腎臓病は、腎臓の機能が徐々に低下する疾患で、最終的には腎不全に至ることがあります。その初期症状の一つとして、タンパク尿が挙げられます。タンパク尿とは、通常は尿中にほとんど含まれないタンパク質が、腎臓のろ過機能の低下により尿中に排出される状態を指します。この状態は、腎臓の健康状態を示す重要な指標であり、早期発見と適切な対応が求められます。

 

タンパク尿と慢性腎臓病の進行

腎臓は、血液をろ過し、老廃物や余分な水分を尿として排出する役割を担っています。正常な腎機能では、タンパク質などの大きな分子はろ過されず、血液中に留まります。しかし、腎臓の糸球体や尿細管に障害が生じると、これらのタンパク質が尿中に漏れ出し、タンパク尿が発生します。この状態が持続すると、腎機能のさらなる低下を招き、慢性腎臓病の進行を加速させる可能性があります。

最新の研究から見る新たな治療の可能性

近年、熊本大学の研究チームは、抗糖尿病薬であるメトホルミンが、糖尿病を伴わない慢性腎臓病のモデルマウスにおいて、腎機能の低下や糸球体の障害、炎症や線維化などの病態を改善し、生存期間を有意に延長することを発見しましたこの研究では、遺伝性の腎臓病であるアルポート症候群モデルマウスを使用し、メトホルミンが腎臓の病態進行を抑制する効果が示されました。さらに、既存の治療薬であるロサルタンとの併用により、より効果的な治療が期待できる可能性が示唆されています。xpert.link

 

タンパク尿発症のメカニズム解明と新たな治療法の開発

新潟大学の研究グループは、腎臓の糸球体上皮細胞間に存在するスリット膜のバリア機能維持に、NHERF2という分子が重要な役割を果たしていることを明らかにしました。この分子がスリット膜の構造を安定化させ、機能を維持することで、タンパク尿の発症を防いでいることが示されました。この発見は、新たなタンパク尿治療法の開発につながる可能性があります。

慢性腎臓病の進行予防と生活習慣の見直し

慢性腎臓病の進行を予防するためには、早期発見と適切な治療が重要です。定期的な健康診断での尿検査や血液検査により、タンパク尿や腎機能の異常を早期に発見することが可能です。また、生活習慣の見直しも重要で、高血圧や糖尿病の管理、適切な食事療法、適度な運動、禁煙などが推奨されています。

まとめ

タンパク尿は、慢性腎臓病の早期発見と進行予防の鍵となる重要な指標です。最新の研究により、新たな治療法の可能性が示されていますが、日常生活での予防と管理も重要です。定期的な検査と生活習慣の見直しを通じて、腎臓の健康を維持しましょう。

腎臓の健康やタンパク尿に関するご相談は、岡崎ゆうあいクリニックにご相談ください。

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